ホーム > NEWS > “音を聴く”体験としての映画の魅力。 ザ・フェニックスホールのレクチャーコンサート 「小沼純一と聴く『珈琲時光』」
毎回1本の映画を題材に、映画と音楽の関係を、研究者の視点と名手たちの生演奏によって読み解いてゆき、そのあとで映画そのものも楽しんでしまおうというコンサートが、大阪のザ・フェニックスホールで好評を博している。これは同ホールの音楽アドバイザーで、大阪大学教授を務める伊東信宏氏が企画・構成を手がける“レクチャーコンサートシリーズ「映画は音楽に嫉妬する」”。これまでも片山杜秀、岡田暁生、柿沼敏江、伊東信宏ら今をときめく音楽探求のプロたちが、名だたる演奏のプロたちとともに楽しくもスリリングな映画と音楽の冒険を繰り広げてきた。
さて6月15日(土)に開催されるvol.5は「小沼純一と聴く『珈琲時光』」と題し、台湾の映画監督、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の『珈琲時光』を採り上げる。この作品は侯孝賢が小津安二郎監督へのオマージュとして2003年に発表したもの。東京、神田・神保町周辺を主な舞台に、一青窈演じるフリーライターの陽子と彼女を取り巻く人々の風景を、侯孝賢監督の特色である柔らかな光の中に切り取ってみせた作品だ。今回は、その映像に寄り添うように流れる、日本で活躍した台湾出身の作曲家、江文也(こう・ぶんや)のピアノ曲、そして登場人物たちを取り巻く、さまざまな環境音 …都会の音、田舎の音、電車の音、雑踏の音など…を手がかりに「音を聴く」体験としての映画の魅力に迫っていく。
講師の小沼純一は、早稲田大学文学学術院教授。音楽の在り方をめぐる柔軟な論考や、新しい音楽文化論の提唱などで知られる文芸・音楽批評家である。その新鮮な発想は『珈琲時光』の楽しみ方を幾通りも気づかせてくれるに違いない。演奏には榎本玲奈(ピアノ)、通崎睦美(木琴)を迎え、本編にも流れた江文也のピアノ曲や、彼の知られざる木琴作品などを演奏する。そして魅力的な音楽を楽しんだあとは、いよいよ映画『珈琲時光』本編を上映。淡く、あくまでさりげなく描かれる物語を、豊かに彩る音の魅力に今一度ご注目ください。
〈レクチャーコンサートシリーズ24 「映画は音楽に嫉妬する vol.5」〉
伊東信宏
企画・構成小沼純一と聴く『珈琲時光』
●6月15日(土)16:00
あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール
チケット発売中 Pコード 191-190
指定席-3000円
【曲目】
江文也:台湾の舞曲 スケッチ五曲 パガテルより抜粋
木琴とピアノのための「祭りばやしの主題による狂詩曲」/他
【講師】小沼純一
【ピアノ】榎本玲奈
【木琴】通崎睦美
※レクチャーコンサート終了後に映画全編を上映(上映終了予定20:00)
【問い合わせ】
ザ・フェニックスホールチケットセンター
■06-6363-7999(平日10:00~17:00)
(2013年5月14日更新)
■珈琲時光(2003/松竹/103分)